2018.03.08
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わたしたちはどう変わるべきか?どう生きるべきなのか?~「SHEROS」を探して~プロローグ

Pixabay

新しい時代の生き方を模索する連載「SHEROSを探して」

vol.1 「道はない。答えもない。それでも歩き続ける」-リトルプレスうかうか編集部長谷川未緒さん・吉原美穂さん

 

 

 

「#MeToo」のムーヴメントがアメリカから押し寄せてきて、性被害、セクハラ被害について考える機会が増えた人も多いはず。日本でも、一人の勇気あるブロガーの告発をきっかけに、徐々に広がりつつあるけれども、まだまだ「他人事」としてとらえている人も、きっと多い。

 

「フェミニズム」という言葉には、残念ながらネガティブなイメージが付きまとう。「#MeToo」のムーブメントにも「過敏になりすぎなのでは?」とか、「告発された側の社会的立場は?」という懸念事項を上げる人もいる。実際、「#MeToo」に対する対抗言説として注目されたのが、フランスの大女優カトリーヌ・ドヌーヴのル・モンドへの寄稿。行き過ぎた告発の流れを、「『ピューリタニズム(清教徒的な潔癖主義)』の波が起きている」と批判しムーヴメントに一石を投じた。

 

フランスとアメリカ、そしてもちろん日本では性愛に関する価値観がまったく違うので、こうしてたくさんの立場から意見が上がり、女性、男性、当事者、第三者関係なく、議論が活性化していくことは健全な状況だと前向きにとらえることも出来る。

 

ドヌーヴは、端的に言えば「男性の『言い寄る権利』を虐げている」と表明したのだが、その後ほどなくして「ルモンドのコラムによって傷つけられたかもしれない被害者に謝罪する」とリベラシオン紙に発表した。彼女はただ、とにかく、行き過ぎた同調圧力に警鐘を鳴らしたかったのだ(それにしても、ニュースになって久々に写真を見たけど皺の刻まれた容貌のなんと美しいこと!)。

 

フランスではきっと、「口説く性」と、「口説かれる性」がお互いに性愛を対等な立場で楽しむ精神的な土壌があるはず。それはきっと、ピューリタンの国であるアメリカと、儒教の国である日本との決定的な違いだ。女性の中に、自分の性的魅力を自覚しコントロールするという感覚が当然のように浸透している文化がどんなものか、完全に理解することは日本人のわたしには難しい。

 

様々な言説が吹き荒れるなかで、それでも、時代のエッヂに立つわたしたちは大きな方向転換を強いられている。きっと、わたしがいま生きている時代と、わたしの子供が生きる時代は全く違うものになる。それは、わたしの母が生きた時代と、わたしの祖母が生きた時代が違うのとおんなじで。

 

わたしたちは、変わらないといけない。でも、自分のために、そして人のために、どんなアクションをとっていけばいいのか?なにが正解なのか?考えれば考えるほど、わけが分からなくなってしまうことがある。自分がこれまでやってきたことと、これからやらなければいけないこと、矛盾するふたつの価値観のせめぎ合いと、葛藤。そう、「変わる」という選択には大きな産みの苦しみが伴う。それでもなお、一歩を踏み出さなきゃいけないわたしたちの背中を押してくれる、とってもポジティブなメッセージを届けたいと思う。2014年に、Lamp harajukuで「SHEROS」のアート展を企画したハンナ・フシハラ・アーロンが教えてくれたことだ。

 

「SHEROS」のアート展では、ハンナと、そしてジェニファー・アームブラストのキュレーションのもと、「女性のヒーロ―に手紙を書こう」というテーマでたくさんのアーティストが参加し作品を作り上げた。

ハンナは今、ニューヨークに住み、ドッグトレーナーとして、大会へのトレーニングや、アニマルセラピーの活動を行なっている。2017年10月には、「青参道アートフェア」に合わせて来日し、「わたしはこのために立ち上がる、戦う」というモチベーションを缶バッジにレイアウトし、張り出すという参加型アートを発表した。アメリカでは、個人の信条を缶バッジに表明するのは一般的なことなんだとか。参加者の強い思いが集まり、一つの形になってゆく経過を見ていくことができる。

 

アートフェア初日である19日(木)の17時から、hpgrp Gallery ではハンナによるトークセッションを開催。そこでハンナは、「What I’ve learned about being a feminist from working with animals~よりよいフェミニストになるために、わたしが動物たちから学んだこと~」をテーマに、7つのメッセージを伝えてくれた。

ドッグトレーナーとして活躍するハンナ

 

  1. Feminism Needs to be Personal ーフェミニズムは他人事じゃないー

「フェミニズム」って、自分ではない誰かの問題だと思っていませんか?一部の「リベラルな女性」や、セレブリティのものだと。でも、本当はあなた自身が今よりも自由になるための思想。そこには、男性も女性も関係ない。

 

  1. Try New Things ー新しいことにチャレンジしようー

人はどうしても、自分の心地よい空間に止まってしまいがち。でも、それじゃ世界は変わっていかない。

 

  1. Be Brave ー勇気を持って。ー

新しいことを始めるには勇気が必要。自分の見知った世界から一歩踏み出してみることをためらわずに。

 

  1. Accept Failure ー失敗を受け入れるー

完璧を追い求めて、結局何にも挑戦できないんじゃ意味がない。失敗しても大丈夫。まずは挑戦あるのみ。

 

  1. Be Self Aware ー自分自身を見つめるー

他人を責めるのは簡単。でもそれって、もしかして自分の言葉や行動に原因がある可能性も。ハンナは、犬とのトレーニングの録画を見返している時に、犬が指示を無視した行動は、自分の些細な手足の動きの違いを彼らが読み取った結果なのだということに気づいたんだとか。

 

  1. The Importance of Consent ー「同意」を得ようー

ハンナが犬と接して理解したこと。犬は言葉を理解しないけど、だからといって彼らが嫌がることに気づかずなんでもしていいわけではない。人間同士でも、自分の持っている力に責任を持ち、きちんと相手に「同意」を取ることが大事。

 

  1. Injustice Anywhere Is a Threat to Justice Everywhere.ーどんな場所にある不公正も、あらゆる場所の公正さへの脅威である。ー

キング牧師のスピーチからの引用。どこかで働かれる悪事は、この社会全ての正義を脅かす。誰かが困っていたら助ける、それは、自分と、世界全体の幸せのために。

「青参道アートフェア2017」で開催されたハンナのアート展

 

 

フェミニズムと、動物・・・?という、一見関連性のないキーワードのように見えるけれども、どれもこれも、ハンナが日々のトレーニングで犬たちと触れ合う中で生まれた、人と人の、人と動物の、あるいは、人と環境の、普遍的な関係性の本質を突いたメッセージばかりだ。

わたしたちは、一人では生きてゆけないから、色んなものに頼り、頼られ、その関係の中で幸せや悲しみや、愛を育んだりしながら前に進んでゆく。自分が知らず知らずのうちになにかを虐げ、不幸にする可能性もあるんだと自覚すること。その上で、何をすればいいのかを考えること。コミュニケーションを絶やさない努力を怠らなければ、セクハラ問題なんてそもそも起きないし、ジェンダーバイアスも、人種差別も、労働の現場で起こる搾取も、人類による身勝手な環境破壊もなくなるはず。

暴力も攻撃的な言葉もいらずに、愛と優しさと、クリエティブな発想でわたしたちは戦えるんだと、ハンナの言葉は教えてくれる。わたしたちは勇気を持って一歩を踏み出し、まだ見ぬ、新しい世界を見つけるために歩いていくのだ。

Chiaki Seito

Writer:Chiaki Seito

活動拠点:東京。 H.P.FRANCE 広報

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